「今月で代位弁済から1年経ちます。今月中に買手が見つからなければ競売を申し立てます。」
ついに債権者から告げられました。この1年、一般的な市場価格で頑張ってきましたが購入者が現れませんでした。債権者からは売却価格を下げて販売するよう助言を受けていましたが、それでも踏ん張り続けてきました。任意売却なんだから…価格を下げて売却するのが定番です。でも私にはそこまで頑張る理由がありました。

所有者は会社経営のとっぽい兄ちゃん。このまま行くとこの兄ちゃんは後に破産する可能性がありました。別れた妻がいて連帯保証人になっています。仮に兄ちゃんが破産した場合、残債務は元妻に請求されます。債権者が認めてくれた低い金額で売却した場合、払いきれない債務が元妻に請求されてしまうのです。売却を依頼された当時、元妻と子が自宅に住んでいたのでこの2人の気持ちを汲みながら売却活動をしていました。
元妻は堅実に会社員をしています。彼女には任意売却後の残債務についてその行方をお話ししました。債権者は無担保債権となったポンカスな残債をサービサーに格安で譲渡すること、その後サービサーから督促の連絡が入ることなど、債務が債権者の帳簿から消えるだけなのであって、決してなくなるのではない現実をしっかり説明しました。
「わかりました。私には自己破産の選択肢はありません。売却が終わったら少しずつ対処していきます。」
これから子供の進学、就職に親が保証人等関わることが出てきます。破産による弊害がないとも限りません。焦らず騒がずしっかりと現実を受け止めた彼女の結論でした。
あぁ母は強し。私のような今流行りの(?)義母とは違います。強い向かい風をしなやかにいなす術は、女手一つで子供を守っていく覚悟から身に付いたのでしょう。本当に強い大人女性のお手本です。
私だったら…向かい風と真っ向勝負ーっ!カッコいいぜ私!!(息子よこんな母で許せ 笑)

そんな彼女の覚悟にとことんお付き合いをすると決めてから今月で1年…。先日の競売申立宣告を跳ね除け、とうとうプレッシャーに打ち勝ちました。今、予想に反し一般的な価格で契約の準備をしています。債権者からはビックリされながらも大変喜んでいただきました。恐縮です(*^-^*)
ちなみに我が伊藤家では父母ともに息子の奨学金の保証人はしていません。てめーで責任とれや~!の方針です。
許せ、息子よ。母はたくましい背中を見せるべく、今日も逆境に神風吹かすぜー!!(←いい加減しなやかさを身につけて下さい…^-^;)